CO-CRAFT COLLECTIONを代表する大城健作デザインの「TSUKI」シリーズ。素材の美しさと匠な職人技を独自のアプローチで掛け合わせたものづくりの背景にはどのようなストーリーが隠されているのか。

「大城健作さんが目指したのは、外側は直線的に切り出されたただの木の板のように見えて、実は内側に細かなの手仕事の跡が感じられる椅子でした」
そう語るのは、WOOD YOU LIKE COMPANYを代表するCO-CRAFTMANのひとり、佐々木淳史だ。

TSUKI CHAIRは、原木から切り出されたピュアな板材をそのまま組み合わせたように見せるため、背と座を直角に交差している。
直線的なアウトラインとは対照的に、座と背の内側は座り心地とをしっかりと担保するために、何度も繰り返し丁寧にカンナを手でかけた跡がみられる。こうすることによって、見た目は素朴でシンプルながらも、腰を下ろしたときにすっと優しく身体を受け入れるかたちを実現しているのだ。

「通常は、さまざまな部材を組み上げながらオーガニックな形状の椅子をつくることが多いのですが、この椅子はその真逆のかたちとも言えます。背も座も一枚板から削り出さなければいけないので、限られた制約のあるボリュームののなかで、いかに最大の機能を果たすポイントを見つける必要がありました」
もちろんたっぷりとしたボリュームの厚みのある板を使えば、身体をすっぽりと包む立体的な形が作り出せる。しかし、それではあまりにも椅子の重量が重くなりすぎてしまい、日常生活のなかでは使えない。持ち運びがしやすい範疇で木の厚みを考え、座ったときの身体の接触面を検証しながら表面を削り整えていく作業が続いたと佐々木は話す。

また、木の塊をそのまま椅子にしたいという大城の思いを尊重すべく、座と脚は木に直接らせん状の溝を切り込んで締結。座面の背に近い部分を当初の試作よりもさらに彫り込み、厚み25㎜から10㎜に。これよりさらに素材の存在感と繊細な緊張感のバランスを整えている。
脚の角度や付け方、背にある持ち手の位置などは、オリジナルデザインに基づきながら、より使いやすく、バランスが良いように職人たちの視点から変更を促していったのも注目すべきポイントだろう。

「仕上げとなるオイルフィニッシュは、3度塗り重ねています。これは、単に艶を出して美しく見せるためではなく、実際に人の手や身体に触れたときに毛羽立ちが気にならないようにという思いからしていること。目と手で確認し、塗り終えた跡も乾いた布で表面を撫でながら、引っかかりがないか細部をチェックしています」
美しく、洗練されたかたちを、いかに実際に人々がかたち心地よく使う道具に転換できるか。佐々木をはじめとするCO-CRAFTMANたちは、ものづくりへの熱い思いと確かな経験をもとに、深くデザインを読み解いていく。